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鳥取大学 地域学部の教員によるミニ講義

関心ワード
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  • 文学

物語は教養豊かなサブカルチャーだった! 

サブカルチャーだった「物語」文学

 平安時代の文学には和歌、日記、説話、物語などがあります。物語文学では、現存する最古の物語である『竹取物語』や、長編物語の『源氏物語』などが代表的なものです。当時、上級の文学の位置にあったのが漢詩文で、物語はサブカルチャー的な位置づけでした。フィクション性が高く、恋愛模様などを描いた物語は、比較的軽いものだと見られていたのです。

物語には豊かな漢文の教養がちりばめられている!

 しかし物語の作者たちは、中国の漢詩文や仏典など漢文の要素を積極的に取り入れていました。例えば『竹取物語』のベースには、お釈迦様の伝記が組み込まれています。かぐや姫は竹から発見された時に光り輝いていますが、それはお釈迦様が誕生の時に光を発したのと共通しています。また、かぐや姫を見るおじいさんが安らかな気分になったのも、お釈迦様が父親に心の平安をもたらしたことと同じです。さらに、かぐや姫の月への帰還とお釈迦様の出家とには共通する要素がいくつも見つかります。こうした教養は、『源氏物語』にも見られます。作者の紫式部は漢文の知識を物語に注ぎ込んでいます。中国の詩や歴史書が『源氏物語』の世界を支えているのです。
 物語文学は、作者名が記されていません。『源氏物語』の作者が判明しているのは例外で、ほかの物語はほとんど作者が不明のままです。有名な『竹取物語』でさえ作者不詳です。そうした事情は、物語文学が一段低い文学と認知されていたことと無関係ではないでしょう。しかし、豊かな教養を散りばめていた作者たちは、物語の創作に誇りを持って臨んでいたと思います。

人間の心は変わらないもの

 漢文の教養は単なる飾りやひけらかしではありません。それらの要素を溶け込ませることで、平安時代の物語は、人間の心のかたちをさまざまに描くことを可能にしてきました。そこに描かれるいくつもの心は、私たちが共感できるものです。平安文学は、いつの時代になっても人間の心は変わらないということを現代の私たちに教えてくれます。

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この学問が向いているかも 平安文学


地域学部 地域学科 国際地域文化コース 准教授
久保 堅一

メッセージ

 平安時代の文学を学ぶと現代の私たちの感性とはまったく違う感性に出会えたり、逆に、現代の我々にも通じる感性に出会えたりすることができます。それは「驚き」や「喜び」を感じることのできる瞬間です。作品の言葉や表現を丁寧に読むことで、そうした瞬間に立ち会えることでしょう。
 また、平安時代の物語などは、書いた人は一体どのような人なのか、ある場面や表現の背景には何があるのかなど、未解明の点がたくさんあり、謎解きにも似た研究の楽しさがあります。
 私たちと一緒に、豊かな平安時代の文学を学んでいきましょう。

先生の学問へのきっかけ

 中学生の時に日本の古代の歴史に興味を持ち、高校では古典の授業が始まって、昔の日本の文学に強く心をひかれるようになりました。英語は世界のどこでも通じる言葉、つまり「横のつながり」です。一方、昔の言葉で書かれている古典は、かつての人々の考えがわかる、いわば「縦のつながり」だと感じたのです。「昔の文学を学べば、平安時代とも中世ともつながることができて、500年前、1000年前の人々の考え方もわかるのでは」と勉強を始めました。大学では古典だけでなく近代・現代の文学にも触れ、文学研究の奥深さを感じました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

中学校教員/地方公務員(学校事務)

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