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福岡大学の教員によるミニ講義

関心ワード
  • 細菌・バクテリア、
  • 腸、
  • イソフラボン、
  • 女性ホルモン、
  • 漢方薬、
  • 大豆、
  • 更年期障害、
  • 健康、
  • 薬学、
  • 遺伝子発現

女性ホルモンを補う大豆イソフラボンのゆるやかな効果

健康と深い関わりがある腸内細菌

 食物は胃や腸といった消化管で消化吸収されますが、その際、細菌によって吸収できる物質に分解されてから吸収されます。特に腸にはそのような細菌が多く、「腸内細菌」と呼ばれています。腸内細菌は1人あたり1,000種類以上1,000兆個もいると言われています。人間の細胞は約60兆個なので、それよりもはるかに多くの細菌が人間の体にはすみついているのです。また腸内細菌の組成は一人ひとり違っていて、その人の健康と深い関わりがあります。

大豆イソフラボンで更年期障害を解消

 腸内細菌はある種の食物を分解すると、その過程でホルモンのような働きをする物質を作ることがあります。
 例えば、大豆には大豆イソフラボンという配糖体(糖とそれ以外の物質の化合物)が含まれていますが、分解されるとイコールという物質に変わります。この物質は女性ホルモン(エストロゲン)のような働きをします。大豆を食べることで、女性ホルモンが減少した更年期女性のホルモンバランスが改善します。通常このような効果は、腸内細菌の組成によります。つまり、分解可能な腸内細菌がいないと効果は得られません。

腸内細菌の研究が、漢方薬のメカニズムを明らかに

 女性ホルモンのような働きは体内のエストロゲン受容体にイコールのような物質が結合して、さらに遺伝子発現のスイッチが入ることで作用しますが、一方では、乳がん発症のリスクが高まります。大豆イソフラボンにはゲニステインという物質も含まれ、この物質はそれをブロックします。つまりアクセルとブレーキを同時に踏み込んでいるので、その効果はゆるやかなのです。また、大豆イソフラボンには自然界のホルモンバランスを乱す有害な環境ホルモンの作用をブロックする働きもあります。
 このようなゆるやかな効果は漢方薬に似ています。腸内細菌の働きの解明は、漢方薬の効果の解明にもつながると期待されます。薬学とは薬と直結した分野のみを追究する学問ではなく、このように健康維持(予防医学)を目的とした研究を行う学問でもあります。

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「葛花」と「大豆」の“肝・腎”な話

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豆によって薬効が異なる

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大豆イソフラボンがなぜ凄いのか

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サポニンの”肝・腎”

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この学問が向いているかも 薬学


薬学部 薬学科 教授
金城 順英

メッセージ

 私の専門分野は「生薬学」で、この分野は漢方薬と密接に関連しています。主な研究テーマは、「腸内細菌による植物成分の代謝活性化」です。口から入ったもの、すなわち薬に限らず食べ物の多くは腸内細菌による代謝を受けてから体に吸収されるので、そのプロセスや機能を明らかにしています。
 漢方薬はいろいろな植物の集合体のようなものです。腸内細菌による代謝研究から、漢方薬の本当の活性物質は何なのかがわかってきます。薬学部で私たちと一緒に研究しませんか。

先生の学問へのきっかけ

 大学では生化学を専攻し、大学院は薬学に進みました。研究テーマは、「マメ科植物の成分研究」です。マメ科である大豆とクズの成分は化学構造的にほとんど同じなのに、大豆は腎臓によく、クズは肝臓によいという伝承がありました。
 この違いは何が原因なのだろうと研究した結果、腸内細菌が大きく関与していることがわかりました。人間の腸にいる1,000兆個もの腸内細菌が、薬物を腸が吸収できる物質に分解してくれます。この過程で、成分の構造上のわずかな違いから異なる化学反応が体の中で起こっていることがわかってきたのです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

公務員

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