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鳥取大学 医学部の教員によるミニ講義

関心ワード
  • 染色体、
  • 命(いのち)・生命、
  • 遺伝、
  • ダウン症候群、
  • 抗がん剤、
  • 細胞、
  • タンパク質、
  • 薬・医薬品、
  • がん(癌)

染色体の仕組みを解明して、生命の神秘に迫る!

体細胞は染色体を複製・分配して増える

 生物は染色体に遺伝情報を格納しています。1つの体細胞にある染色体の数は種によって決まっていて、人の場合は46本です。両親から1本ずつ、2本1セット(2倍体)で構成され、合計23組の染色体があります。体細胞は分裂するときに、1つの細胞から染色体を複製・分配して2つの同じ細胞を作ります。人には約60兆個の細胞がありますが、1つの受精卵がこの過程を繰り返し60兆個に達します。

染色体は間違った数で増えてしまうことがある

 1組の染色体に注目すると、両親からの染色体2本が4本に複製されて、それが元の通りの染色体2本に分配されるのが正常ですが、そうならない場合があります。例えば3本と1本に分配されると、ほかが正常でも合計で45本と47本の染色体数の細胞ができてしまいます。これを「異数体」と呼んでいます。遺伝子の異常が病気を引き起こすように、染色体数の異常も病気を引き起こします。ダウン症候群や一部のがんもその例です。病気が発生するのは、複製・分配機能がうまく働かないからです。分配を担っているのは「紡錘体」です。紡錘体は微小管と呼ばれるタンパク質でできています。微小管が壊れると分配がうまくできません。

医療の発展に貢献する染色体研究

 紡錘体の働きを標的とした薬剤があります。微小管阻害剤と呼ばれる抗がん剤です。がん細胞の微小管を壊すことで、分配を不能にしてしまうのです。また一部の細胞は分裂しないまま四倍体の状態となります。これらの細胞の多くが死んでしまいます。実はなぜ死ぬのかはよくわかりません。もしわかればより優れた薬剤開発も可能になります。
 染色体の研究は、このように医療にも役立ちますが、それだけではありません。生物は多様な種が生まれ、進化したにもかかわらず、染色体の複製・分配という機能はほとんどの生物が持っている共通の仕組みです。これは生物の根源と深く関わっています。この仕組みを明らかにすることは、生命の神秘に迫ることになるのです。

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細胞分裂と染色体分配から制がん法を探る

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遺伝子変異過程の例

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この学問が向いているかも 生命科学


医学部 生命科学科 准教授
井上 敏昭

先生の著書
メッセージ

 成功するかしないかにかかわらず、好きで楽しめることを見つけてほしいと思います。「好き」の力を信じて続けていれば、努力すること自体が楽しいはずですし、努力をすることで理論的な思考能力、創造性が身につくでしょう。
 「好き」なことが、たまたま生命科学の研究であれば、あなたはすでに研究者と言えます。研究では、問題解決のための力はもちろん必要ですが、本当に必要なのは「問題を正しく設定する力」です。大学に入ったら、問題を見つける力を身につけてほしいと思っています。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃「いのち」って何だろうって不思議でなりませんでした。理科の本にも載っていない。高校で、多くの彗星を見つけた天文学者が講演されました。そうか、答えを自分で見つけにいけばいいんだと気がつき、講演そっちのけで興奮したのが研究者(自称)デビューです。「すぐに役に立つ研究」の多くはすぐに役立たなくなります。自分が知りたいことは何なにか、それは重要な課題なのか、その歴史を知り、その解決法を考えるのが学問ではないでしょうか。その答えは、何十年も経ってから、たくさんの人に長く役立つかもしれません。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

県研究所研究員/大学教員/製薬会社研究員/CRO(医薬品開発業務受託機関)解析職/進学塾講師

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