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鳥取大学 農学部の教員によるミニ講義

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  • 遺伝子、
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  • 感染、
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なぜ、インフルエンザウイルスは人に感染するようになったのか

元来インフルエンザウイルスは人に感染しなかった

 ウイルスには、ある種の動物にしか感染しないものと、インフルエンザウイルスのように人やニワトリを含むさまざまな動物に感染するものがあります。どこに違いがあるのでしょう?
 インフルエンザウイルスは口から体内に入ると、まず喉の細胞に吸着します。細胞表面にはレセプター(受容体)と呼ばれる器官があり、まずそこにウイルスが結合します。ところが、この器官には鍵と鍵穴のような仕組みがあり、形が合わないと結合できません。インフルエンザウイルスの場合は、人とニワトリの両方のレセプターに結合できるウイルスが存在しているわけです。

突然変異で人に最適化されたウイルスが誕生

 しかし、インフルエンザウイルスは最初から人に感染するウイルスではありませんでした。起源はカモの腸内ウイルスで、そのウイルスが突然変異でニワトリに感染できるウイルスに変異し、さらに人にも感染するようになりました。感染する動物の近い場所に別の動物がいると、ウイルスと接触する機会が増えます。そして突然変異が起こり、感染できるウイルスが誕生します。人の体内で最も効率よく増殖できるウイルス、すなわち人に最適化されたウイルスがこのようにして生まれるのです。

将来インフルエンザウイルスは無害になるかも?

 インフルエンザウイルスが人に感染するとウイルスの遺伝子が人の細胞内に注入され、その細胞で次々と子孫ウイルスが増殖します。一方でその細胞も破壊されていきます。その結果、インフルエンザの症状である咳、熱、体や喉の痛みなどが表れます。ただし、細胞が破壊されるとウイルスも増殖できなくなるので、ウイルスにとってはよいことではありません。実は、人やニワトリにとっては有害なインフルエンザウイルスも、カモにとっては無害な場合があります。これはカモとインフルエンザウイルスが「共生」しているためです。これがウイルスにとって理想の型です。今は有害なウイルスが、遠い将来、無害なウイルスに変異し、人と共生する可能性もあるのです。

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この学問が向いているかも 人獣共通感染症学


農学部 共同獣医学科 教授
伊藤 壽啓

メッセージ

 今や獣医学は「動物のお医者さん」のイメージを超えて、地球上のすべての生命を対象とした生命科学にまで発展しています。その一例が、人獣共通感染症の研究です。この感染症は、文字どおり人と動物に共通した感染症で、高病原性鳥インフルエンザもそのひとつです。感染源の特定や感染拡大の防止には、医師だけでなく動物の生態や生理に詳しい獣医師が必要です。近年さまざまな人獣共通感染症が出現して、獣医学の果たすべき役割はますます大きくなっています。こうした問題に興味があるなら、ぜひ一緒に研究しませんか?

先生の学問へのきっかけ

 子供の頃から生き物に興味があり、その生命機能の巧みな働きに心を躍らせていました。漠然と生物学が好きだということだけで、高校は理数科、大学は獣医学部に進みましたが、実は臨床にはあまり関心がなく、一方で肉眼では目に見えない病原微生物の世界に、次第に興味を持つようになりました。そして大学3年のときに「分子レベルからグローバルまで幅広い視野で人獣共通感染症をコントロールする。それができるのは獣医だけだ。」という恩師の言葉で、私はこの分野の研究者への道を進む決心をしました。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

官公庁公衆衛生管理技術職/官公庁畜産技術職/動物病院臨床獣医師/大学教員/感染症研究所研究員/製薬会社研究員/ワクチン製造会社研究員

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