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講義No.06651

細胞サイズの分子「ロボット」の制御

生体分子で組み立てる「ロボット」

 「ロボット」と聞いて、どんなマシンをイメージしますか。2足歩行の人型ロボットを思い浮かべる人が多いと思いますが、細胞とほぼ同じ生体分子で作る、数ミクロンの大きさの「分子ロボット」が注目されています。研究は始まったばかりですが、実現すれば細胞サイズの分子ロボットが血液中を「泳いで」移動して、患部にたどり着いたら医療行為を行うという、まるでSF映画のような技術につながります。

「DNA」で、思い通りの動きや形を実現

 「人工細胞」である分子ロボットを、人間の指令通りに制御するコントローラーとなるのが「DNAによる信号処理」です。中学・高校の授業では、「遺伝子」は生物の設計図、「DNA」は遺伝情報の格納庫となる高分子体と学ぶかもしれませんが、DNAは人工的に加工・合成することで、さまざまな「機能」を持たせることができます。
 近年、DNAの螺旋(らせん)構造を加工して自由な形を作り出す、「DNA折り紙」という技術が注目されています。また、特定の波長の光を当てることで、構造が正確に変化するDNAも開発されました。これらの技術は、DNAナノテクノロジーと呼ばれますが、DNAを分子ロボットの信号処理回路に利用し、分子ロボットを制御するのです。

「分子ロボット」が人体内部で大活躍

 さまざまな薬が開発されていますが、「患部だけ」に作用する薬はありません。抗がん剤のような強力な薬は、がん細胞だけでなくほかの細胞も攻撃してしまうので、強い副作用が現れます。
 人間の指令通り動く分子ロボットが実現すれば、抗がん剤の成分をロボット内に格納し、がん細胞に到達したら薬を放出するといった、超ピンポイントの医療行為が可能になります。さらに技術が進めば、動脈硬化でふさがりかけている血管を内側から押し広げ、脳梗塞や心筋梗塞を防ぐこともできるかもしれません。
 いくつかの課題があるのですが、それほど遠くない将来、人体の内部から病気を治してくれるような「分子ロボット」が完成すると期待されているのです。

分子ロボットが描く、次世代技術と制御工学

夢ナビライブ2016 福岡会場

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設計図としての遺伝子

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分子レベルのものづくり?

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この学問が向いているかも 制御工学、システム生物学、ロボティクス

九州工業大学
情報工学部 知的システム工学科(2018年4月 設置予定) 准教授
中茎 隆 先生

メッセージ

 私は子ども時代、「がん」を治療する医者になる夢を持っていました。しかし実際には、同じ理系の工学部で、メカトロニクス(制御工学)を勉強するようになりました。
 もう、子どもの頃の夢を実現する機会はないのかなと思っていたところ、がん治療に役立つ、「分子ロボット」制御という研究ジャンルが現れたのです。あなたにも、きっと「夢」があると思います。今は実現する見込みがなくても、あきらめずに夢を持ち続けていれば、いつか実現のチャンスが訪れるかもしれません。

先生の学問へのきっかけ

 学生時代には、ロボットなどの機械システムのコントロールに関する制御工学の研究をしていました。しかし、理化学研究所時代に生物現象をシステムとしてとらえ、そのメカニズムを理解する「システムバイオロジー」の分野に出会いました。制御工学は機械・電気系だけに役に立つと思っていましたが、生物システムにも応用できるということを知って衝撃を受けたのです。
 それ以降、生命現象を理解するために、制御理論を応用するという研究、生体分子のみで「超小型ロボット」を創造しようとする分子ロボティクスの研究に取り組んでいます。

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中茎 隆 先生がいらっしゃる
九州工業大学に関心を持ったら

 「情報工学」は、高度情報化社会の進展の中で、ますます必須知識・ 技術となっています。九州工業大学情報工学部は1986年 に創設された日本初、現在も国立大学法人で唯一の情報工学部で、2016年に創設30周年を迎えます。知能情報工学科、電子情報工学科、システム創成情報工学科、機械情報工学科、生命情報工学科の5学科があり、情報工学の学びを軸としつつ、各学科の応用分野に対する教育研究を進めています。特に、教育システムは、全学科がJABEEに認定され、世界的に通用するものであることが保証されています。

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