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鳥取大学 農学部の教員によるミニ講義

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キノコなど、まだ見ぬ菌類に秘められた未知なる可能性

菌類のほとんどは未知の存在

 酵母、カビ、キノコなどの菌類は、少なくとも約150万種はあると言われていますが、発見され名前が付いているものは約10万種しかありません。目に見える大きさのキノコでさえも、発見されているのは全体の半分程度の2万1000種と考えられています。したがって、菌類はほとんどが未知のものなのです。
 例えば、沖縄で菌類を採集すると、すぐに名前がわかるのは3割ほどです。沖縄のような亜熱帯やアフリカ、中南米、東南アジアなど熱帯での調査は進んでいないので、数多くの未知の菌類が存在していると予想されます。

いろいろな分野で活用されている菌類

 菌類は、いろいろな分野で活用されています。キノコは食料になりますし、酵母は酒や醤油、豆腐などさまざまな発酵食品に利用されています。また、薬剤の原料にもなります。抗生物質のペニシリンがアオカビによって作られることは有名です。そのほか、残留農薬やダイオキシンなどの汚染物質を分解する機能があることもわかっています。これは、菌類にある酵素の働きによるものです。
 生態系の中でも、菌類は重要な役割を果たしています。落ち葉や倒木は分解されなければ、森林にそのまま堆積して健全な森林は保てません。菌類はそうした落ち葉や倒木を分解酵素によって低分子化して、自分の栄養にしたり、ほかの微生物などの食料になります。

遺伝子情報による分類で新たな可能性

 菌類はほとんどが未知であるだけに、資源としてはほんのわずかしか活用されていません。その意味で、未知の菌類を発見し分類することは大きな意味を持ちます。分類については、以前は形態による分類だけでしたが、1990年頃からは遺伝子工学や分子生物学の発展によって、遺伝子情報(DNA塩基配列)による分類も導入されています。
 これらの学問の進展によって、新しい種の発見だけでなく、これらの菌類を用いて今まで思いつかなかった活用法が発見されるかもしれません。菌類には、大きな可能性が眠っているのです。

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この学問が向いているかも 農学、生物資源環境学


農学部 生命環境農学科 植物菌類生産科学コース 教授
前川 二太郎

メッセージ

 酵母、カビ、キノコなど、私たちになじみがある菌類は、現在約10万種が知られていて、食用キノコ、医薬品の開発、発酵食品などに利用されています。しかし、未知のものを含めると菌類は全体で少なくとも150万種と推定されているので、まだ1割もわかっていないのです。利用されている菌類もほんのわずかにすぎません。
 そこで、鳥取大学農学部では未知のキノコ類の遺伝資源を発掘して、それを活用する研究を行っています。キノコ類を含む菌類に興味のある人は、ぜひ鳥取大学農学部に来てください。

先生の学問へのきっかけ

 キノコの分類に興味を持ったきっかけは、シイタケを育てるための原木である「ほだ木」に付く雑菌の名前を調べるという研究でした。木に付着するのは膏薬茸(こうやくたけ)類というきのこの仲間でしたが、当時日本で研究している人はおらず、世界でも5人ほどしかいませんでした。さらに、日本では80種類くらいしか報告されていなかったので、人がやっていない分野を開拓できることにやりがいを感じ、「これは面白い!」 と思ったのです。

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