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鳥取大学 農学部の教員によるミニ講義

関心ワード
  • 植物、
  • 栽培、
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  • 根、
  • 作物、
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  • イネ、
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「作物愛」の数値化で植物栽培を科学する

肥料を与えても生育が悪い、その原因を探るには

 植物を栽培していて、肥料を与えても生育が悪い場合は、根が肥料を吸い上げていない可能性があります。根に原因があるのかを確認するには、根を掘り上げて、専用の測定器で活性を計る必要があります。しかし、土壌中に深く広がる植物全体の根を掘り上げるのは困難です。目で確認することが難しい根の状態をできるだけ簡単に知る方法はないのでしょうか。この方法のひとつに、茎の切り口からあふれ出る液の量を計るという方法が行われています。これなら、簡単である程度正確に根の活性を知ることができます。

観察して植物の変化を読み取る

 ただし、この方法でも比較の対象がないと正確な診断を行うことはできません。土壌の状態や天候などの自然条件が同じ中で、健康に育った植物の出液量を過去に計っていれば、そのデータと比較することで、はじめて正確な根の状態を知ることができます。栽培では、どんな場合でも適用できるような絶対値というものはありません。そのため、同じ土地で栽培してきた人の「観察眼」が大きな意味を持つのです。栽培する人に求められるのは、育てている植物を常に観察して、その変化を読み取ることです。「作物愛」というと科学的な言い方ではないかもしれませんが、実際にはそのような気持ちがないと植物の本質を知ることはできません。

栽培学とは「作物愛」の数値化

 例えばイネは、成長する中で「栄養成長」から「生殖成長」に変わるという節目があります。この時に肥料をどれだけ与えるかが収量に大きな影響を与えます。この時期を知るための診断方法はありますが、それを行うには毎日の観察が不可欠です。
 栽培学の目的は、よりよいものをより多く収穫するための技術を開発することです。このような技術は、観察によって得られるわずかな変化を数値化することから生まれます。多くの経験と「作物愛」を育むことが栽培学の成果になっているのです。

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この学問が向いているかも 農学、栽培学、植物生理学、生態学


農学部 生命環境農学科 植物菌類生産科学コース 教授
山口 武視

メッセージ

 私は「作物愛は地球を救う」をテーマにしています。それは作物をよく観察することから生まれてきます。
 よく観察すると植物のいろいろなシグナルを知ることができます。そうすると、作物の能力を最大限発揮でき、かつ環境にやさしい栽培技術が適用できます。すなわち、作物愛は地球を救うことになるのです。農学は一人の天才によって飛躍的に発展する学問ではなく、皆が額に汗をした努力によって成り立つ学問です。だからこそ、農学はおもしろいのです。ぜひ、農学に興味を持ってください。

先生の学問へのきっかけ

 中学生の時に「もし日本が海上封鎖をされたら」というドキュメンタリー番組を見て、食料が枯渇することに危機感を感じ、自分で食料を確保したい、そのためには農業しかないと思うようになりました。
 そうして農学部に進学しましたが、実際に栽培を経験してみると、なかなかうまくいきません。植物は正直です。水やりなど、正しい方法で世話をしないと育ってくれないのです。しかし、「正しい方法」を学ぶのは簡単ではありません。毎日観察する中で、科学的な知識を使って少しでも良い方法を開発することに興味を持つようになりました。

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