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講義No.06213

ヒッグス粒子の発見で物理学はますます面白くなる

ヒッグス粒子とは何か

 これまでにわかっている素粒子の現象をよく記述する「標準模型」と呼ばれる理論では、物質を構成する最小単位はクォークとレプトンに分類される12個の素粒子で、さらに重力・電磁気力・強い力・弱い力を伝える4つの素粒子が存在します。そして、2012年に、この標準理論に、なくてはならない17番目の素粒子が見つかったのです。それが、素粒子に質量を与える「ヒッグス粒子」です。ビッグバンのあと宇宙が膨張して冷えていくなかで、宇宙はヒッグス粒子に満ちた海のような状態になり、素粒子はこの海の抵抗を受けて、質量を持つようになったと考えられています。

ヒッグス粒子の見つけかた

 ヒッグス粒子を探すため、巨大な加速器を使って実験が行われました。陽子をほぼ光の速さに加速し衝突させることで、加速器の中にビッグバン直後のような高エネルギー状態をつくったのです。しかし、陽子同士をぶつけて生まれるのはヒッグス粒子だけではなく、しかもヒッグス粒子が生まれるのは、50億回の衝突中に1回ほどの頻度しかありません。さらに、ヒッグス粒子は重くて不安定なためそのままの姿ではいられず、安定する軽い素粒子にすぐ化けてしまうのです。では、どうやってヒッグス粒子を見つけたのでしょうか。ヒッグス粒子から化けた2個の軽い素粒子は観測できるのです。時間をかけてたくさんの陽子を衝突させ、ヒッグス粒子から化けたと思われる2個の軽い素粒子を集め、それらのエネルギーと運動量から元の素粒子の姿を計算し、ヒッグス粒子が確かに存在することが証明されたのです。

新しい物理学の幕開け

 ヒッグス粒子が見つかっても、素粒子の研究が終わるわけではありません。その性質を探るのが、まさにこれからの研究の重要なテーマなのです。ヒッグス粒子の性質が明らかになれば、例えば、標準理論でうまく説明できない現象を説明する「超対称性理論」が必要であることが証明されるかもしれません。それは、物理学者の夢である宇宙の始まりの解明へとつながっていくでしょう。

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巨大加速器LHCで探る誕生直後の宇宙

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名古屋大学
理学部 物理学科 准教授
戸本 誠 先生

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メッセージ

 私の専門の「素粒子物理学」は、世界中の優秀な研究者たちが実験現場に集まり、協力・競争しながら研究を進めています。高校生のあなたには、将来世界の舞台で活躍できる人になれるように、できることからコツコツと始めてほしいと思います。まずは今、高校で学んでいる学問の基礎をしっかりと身につけてください。理系だけでなく、国語や英語の語学力も重要です。大学ではそれを発展させて、自分がやりたいことをみつけて、それに全力で取り組みましょう。そして、興味のあることを議論し合える友だちを一人でも多くつくってください。

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