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広島市立大学の教員によるミニ講義

関心ワード
  • デッサン、
  • 絵画・絵、
  • 油絵、
  • 技術、
  • 感性、
  • 画家、
  • 思想

基本技術を突き詰めることが力になる

軽視されがちな油絵の技術

 芸術の世界では、ときに「技術などなくとも」という言葉がまことしやかに語られることがあります。アーティストにとっては、感性や個性的な発想こそが重要で、技術は職人にまかせておけ、というわけです。なるほど技術偏重はいけないことのようにも映ります。しかしこういった風潮には、首をかしげざるを得ません。西洋の油絵は15世紀に完成しますが、人々の思想的刷新に寄り添い、ずっと職人的技能に支えられて、近代以降にやっと、個人的表現活動のメディアとして降りてきたものです。その歴史理解があるなら、手を通した修練をせずに大学で絵画を専攻したといえるでしょうか。耳あたりの良い言い訳で、困難な技術習得を避け続けるとそれは、大学で学んだと自称するには不十分で、その制作も素人同然な「感情の発露」のレベルでとどまってしまうでしょう。

対象を正確にとらえることだけが目的ではない

 では、絵画における技術とは何なのでしょう。多くのひとが絵画の基本として、デッサンを挙げています。古典的な修練の場では、明暗法、遠近法などといった技術で、目に映るものを写実的に、正確に再現することを要求されます。もちろん、これらは重要な技術で、高度な技術を要求されます。でもそれがすべてではありませんし、現在、良し悪しの基準でもありません。

デッサンなど基本技術を突き詰めることが力になる

 例えば、同じ対象を同じ技術レベルの人が描いたとしても、すべての人の絵が同じになるわけではありません。人によって違いがどうしてもできてきます。これは、それぞれに対象に対するとらえ方の差異が表れるからです。描かれた線の1本1本は思考の痕跡にほかなりません。この違いの意味を問い直し続けること、それ自体がデッサンの意味深さかもしれません。
 たとえ画家にならなかったにしても、あらゆる造形活動に関わってゆく者にとって、デッサンを突き詰めた経験は、堅牢な地力、突破力になることは間違いありません。

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芸術学部  准教授
諏訪 敦

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メッセージ

 高校生のあなたにとっては、「大人は信用できないもの」に見えるかもしれません。実は魅力的な大人たちは社会に多く隠れています。見いだせないだけ。私自身、会う前と後では物の見え方が変わってしまうような決定的な出会いに恵まれ、自分が形作られたと、現在は思えるのです。
 そういった機会は必ず誰にも訪れますが、その時に自分が受け入れる姿勢でなければ、「つまらないおっさん」とスルーしてしまうかもしれません。人生の指針にもなり得た出会いを「つまらないおっさん」にしてしまわないよう、おおらかであってほしいと思います。

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