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講義No.05837

重力以外の力が強くなるミクロの世界で「粉体」を扱う技術

もっとスリムでコンパクトなスマホを作るために

 スマートフォンは、どんどん薄く小さくなっています。スリム化を実現するため詰め込まれる電子部品も小型化されていて、中にはわずか300ミクロン(1ミクロンは1000分の1ミリ)ぐらいのパーツもあります。このように微細な部品を作る方法は、ミクロン単位の大きさの粉体を型に入れる成形加工です。ただし、粉体を型に正確に入れるためには、精密に制御しなければなりません。ところが物質は粉体レベルの微粒子になると、コントロールすることが極めて難しくなるのです。

ミクロン単位になると物体に働く力が変わる

 地球上では、万有引力の法則により、すべてのものに重力が働いています。同時にものとものが近づくと相互作用が働き、静電気や分子間力(ファンデルワールス力と言います)が働きます。通常の物体なら重力の方が圧倒的に大きいために、ほかの力は無視できます。ところがミクロン単位の粉体になると重力の影響が小さくなり、相対的に静電気や分子間力が強くなるのです。10ミクロンぐらいのサイズまで小さくなると、こうした力の影響が強くなるため、粒子同士がくっついて動かなくなるなど取り扱いが難しくなってしまうのです。

極小の粒子を一つのものとして扱う技術

 粉体をコントロールするためには、微粒の粉体の一粒ずつを、一つの「もの」として扱わなければなりません。例えば粉体を入れた容器を高速回転させると、遠心力が働きます。遠心力が重力の100倍ぐらいになると、大きな粒子と同じような状態を作り出すことができ、粉体を扱いやすくなります。あるいは温度と圧力を臨界点まで高めた超臨界状態にすると、拡散性がよくなるので粉体の粒子をきめ細かく制御できます。このようにミクロンサイズの粉体の極小の粒子を一つずつ正確に扱う技術が、これからのものづくりのカギを握っており、こうした技術は医薬品開発などへの応用でも期待されています。

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この学問が向いているかも 粉体工学、化学工学、装置工学、製剤学

大阪府立大学
工学域 物質化学系学類 化学工学課程 教授
綿野 哲 先生

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メッセージ

 「粉体」とは、非常に小さな粉のことです。粉体は化粧品、医薬品などのほか、スマートフォンに搭載される電子材料にも使われています。その大きさや性質をコントロールすれば、無限の可能性を秘めた材料を開発することができます。世界で最先端の研究を行う私たちの研究室で、あなたが粉体工学を学びたいと希望するなら、基礎となる化学・物理・数学をしっかり学び、海外との交流に必要な英語もマスターしておいてください。そして、実験や研究を粘り強く続けるための体力も養っておけば、鬼に金棒です。

先生の学問へのきっかけ

 機械いじりやものづくりが大好きな少年でした。ただ大学への進路選択については、医学から機械系工学、そして医療工学にもつながる化学工学と相当迷いました。最終的に大学では、クラブの顧問が主任教授を務めていた「粉」について研究する、粉体(ふんたい)工学の分野へと進みました。粉体は、世の中のあらゆるものの材料となります。その意味で粉体は、日本のものづくりを支えていると言っても過言ではありません。粉体をコントロールすれば、さまざまな新しいものを作ることができ、その可能性は無限に広がっているのです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

製薬会社製剤開発研究員、化粧品会社研究員、食品会社研究員、化学品製造会社研究員、生活衛生品製造会社研究員、医療器具製造会社開発研究員、家電メーカー開発研究員

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綿野 哲 先生がいらっしゃる
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 公立大学法人大阪府立大学は、2005年、大阪府立大学・大阪女子大学・大阪府立看護大学の3大学が統合してスタートしました。
 そして2012年、公立大学法人大阪府立大学は「国際・多様・融合」をキーワードに、7学部28学科から4学域13学類体制にカリキュラムを再整備しました。加えて、大学院7研究科も19専攻から21専攻へと、研究分野をより充実させます。
 広大な敷地と最新の設備を整え、恵まれた教育・研究環境を学生の皆さんに提供し、高度研究型の総合大学として人材育成に努めています。

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