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講義No.05794

ドラえもんのエネルギーは微生物が作る?

電気じゃなくて、ご飯を食べて動くロボット?

 今、実用化されているロボットのエネルギーは電気です。例えば二足歩行ロボットの「アシモ」は、背中のバッテリーに充電して動いています。ところが、「ドラえもん」は、ドラ焼き好きですし、人間と同じ食事をしています。「マンガの中のことだから」と笑うと思いますが、いずれは人間と同じ食べ物をエネルギーにして動くロボットが実現するかもしれません。その名も「ガスト(胃)ロボット」、このようなロボットはどうすればつくれるのでしょうか。

胃の中に微生物電池が組み込まれている

 人間は、ごはんを食べて、体内で分解してエネルギーを得ますが、この際に電子が発生するのです。この電子は細胞内を流れて呼吸により取り込んだ酸素に渡され、この際に電池の原理でエネルギーが発生するのです。したがって、人間は酸素がないとエネルギーが得られません。ところが微生物の中には、この電子を酸素に渡すのではなく、細胞の外に電流として流しだすことができるものがおり、電流生成菌と呼ばれています。電流生成菌を組み込んだ微生物電池を“胃”として使えば、ガストロボットが現実のものになると考えられます。

田んぼで発電もできる

 電流生成菌は、田んぼの土の中にもいます。そこで、田んぼで発電しようという試みも行われています。田んぼの土の中に電極を設置すると、電流生成菌がくっつき、稲の根から出てくる有機物を分解して電流を流しだします。1グラムの土には、1億匹以上の微生物が住んでいると言われています。この中には、未知の電流生成菌が無数にいるようです。
 さらに、微生物電池を用いて、生ごみなどの廃棄物や下水から発電しようとする研究も行われています。微生物電池の利用はさまざま、あなたのまわりで微生物電池が活躍するようになれば、電力問題が解決されるかもしれません。
 微生物電池の研究はバイオテクノロジーのひとつですが、生物と物理と化学がいっしょになったような面白い学問なのです。

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この学問が向いているかも 生命科学

東京薬科大学
生命科学部 応用生命科学科 教授
渡邉 一哉 先生

メッセージ

 研究は、自分が主人公のロールプレイングゲームです。解決したい課題(クリアしたいステージ)を決め、次に戦略をたてます。そして、その戦略に従い実際にやってみるのです。解決すればそれでOK、ただし1回で成功することはまれです。失敗したときは、データを基になぜ失敗したかを考え、戦略を一部変更し、再度実行します。何度もチャレンジして課題を解決したときはかなりうれしいです。研究生活は、毎日ゲームをしているように楽しいのです。みなさんも研究にチャレンジしませんか。

先生の学問へのきっかけ

 小学校の頃から算数が好きでした。高校では迷わず理系を選び、特に物理が好きだったので、大学は理学部に進みました。その後、遺伝子工学に興味をもち、卒業研究で所属した生物化学の研究室で微生物に出会ったのです。就職した企業では「水をきれいにする微生物プロセス」の開発を行い、その後国の研究所を経て大学に移り「海を汚染する石油を分解する微生物や、生ゴミを分解してメタンガスを発生させる微生物」などを研究しました。現在は「電気をつくる微生物の利用」など、応用生命科学の研究に力を入れています。

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渡邉 一哉 先生がいらっしゃる
東京薬科大学に関心を持ったら

 東京薬科大学には創立136年を迎える私立で最初の薬学部と、創立22年を迎える日本で初めての生命科学部を併せ持つ大学です。
 緑に映える赤レンガのキャンパスでは、両学部とも多彩な実験や研究活動を通じて、学生が自ら考える力を伸ばすこと、医療分野、生命科学・環境分野でヒューマニズムあふれるスペシャリストの育成を目指しています。

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