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講義No.05640

「あっちむいてホイ」はなぜできる?

運動の随意的なコントロール

 ヒトは外から何らかの刺激を受けると、その方向に目や体を向けます。例えば、いきなりボールが飛んで来たら、反射的にそちらを向くでしょう? これは、定位反応という私たちが生まれながらに持っている行動で、意思とは関係がありません。定位反応は脳幹の中枢によって司られていて、蛙など両生類にも見られます。ところがヒトのように脳が発達すると、周りの状況に応じてこの行動をコントロールできるようになります。例えば、恋人同士でいるときに魅力的な異性が急に現れても、わざとそちらを見ないようにしたことはありませんか? このような状況に応じた行動選択には、大脳をはじめとした脳の複雑なネットワークが関わっています。

行動選択に関わる神経活動

 パーキンソン病や統合失調症、ADHD(注意欠陥・多動性障がい)の患者さんは、こうした行動の制御がうまくできません。その原因を突き止めようと、脳の研究が進んでいます。行動の切り替えを検査する方法として、「アンチサッカード」がよく知られています。これは、右側に視覚刺激が出たときは反対側の左を見て、左側に視覚刺激が出たときは右を見るといった、「あっちむいてホイ」のような課題で、大脳の前頭葉や脳深部にある大脳基底核といった部分に障がいがあると成功率が低くなります。アンチサッカードをするようにサルを訓練し、脳の神経活動を調べました。すると、行動の制御には大脳や大脳基底核に加え、「視床」という部分が深く関わっていることがわかりました。

脳のメカニズムを知りたい

 視床は、嗅覚以外の感覚情報や、大脳基底核、小脳の信号を大脳に伝える大切なネットワークの一部です。ここからは、体の動きに関係した大脳領野だけではなく、物事の知覚や認知、記憶、感情、判断、思考など高次脳機能に不可欠な大脳領野にも情報が送られており、時間を測ったり、特定の場所に注意を向けたりすることにも関与しています。しかしこれらの脳機能の詳しいメカニズムはまだわかっておらず、研究の進展が期待されています。

参考資料
1:北海道大学医学部田中先生の研究室HPより

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この学問が向いているかも システム神経科学、神経生理学、脳科学

北海道大学
医学部 医学科 教授
田中 真樹 先生

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メッセージ

 脳科学の分野では、「メタ認知」という用語がよく使われます。これは自分の心の状態を自分で認識する能力のことです。高校生のあなたには、ぜひこの能力を鍛えてほしいと思います。たとえ他人のことが気になったとしても、そのときの自分自身をよく観察し、特性を知ることで、自然と将来の目標が見えてくるかもしれません。高校生くらいの年代は、他人と違うことが不安なものですが、社会に出ると多くの場合、他人と違う面を持つことが重要になります。まずは自分を理解して、個性をどう伸ばすかを考えてみましょう。

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 北海道大学医学部は、1919年に設置された北大では最も古い学部の一つで、国内のみにとどまらず海外でも多くの卒業生が活躍しています。医学部の使命は、優れた医師を養成することだけではありません。ヒトに関する最先端の生命科学研究が行われる場でもあります。北大では、医学研究者をめざす学生に対し、早期に研究の機会を与えるMD-PhDコースなども設けています。臨床医になりたい人はもちろん、生命科学研究に興味がある人もぜひ本学で学んでください。医学への情熱と志を持っているあなたを歓迎します。

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