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講義No.05626

植物の光合成をお手本に、新たなエネルギーの開発を

政府も力を入れる一石二鳥のプロジェクト

 光を受けた植物は、光合成によって葉緑素の中で、エネルギーを生み出します。言わば光合成の最初の段階は太陽電池なのです。植物はその電池を使い、水から酸素、二酸化炭素から炭水化物を生み出します。この過程をもし人工的に行うことができれば、二酸化炭素を削減することができ、また炭水化物のようにエネルギーを蓄えた有機物を作り出せる可能性があります。環境保全と化石燃料に代わる新たなエネルギーの開発、その両面をにらむという「一石二鳥」をめざす、人工光合成の研究は日本のサイエンス界が力を入れているテーマのひとつになっています。

複雑な光合成の一部を再現

 具体的には、半導体材料や金属触媒に光を当てることで二酸化炭素を還元する反応、もしくは水の電気分解のような反応を起こすことはできないかという、光合成の機能の一部に特化した内容の研究が行われています。光合成は複雑なプロセスから成っており、試験管の中ですべてを完結することは難しいのです。実際には二酸化炭素から炭化水素を作るだけでもかなり大変なのですが、もし人工光合成により二酸化炭素を一酸化炭素にすることができれば、それだけで大きな一歩だと言えます。一酸化炭素に触媒反応を用いて燃料として使える炭化水素を作るノウハウはすでに確立していますから、その手前の一歩が待たれているのです。

光による新たな反応システムの開発

 人工光合成の研究には国のバックアップも手厚く、それだけに早い実現が望まれています。半導体や金属触媒を使った人工光合成はさまざまな機関が研究をし、効率も上がっているため、10~20年後には実用化のめどが立っています。さらに、二酸化炭素から一酸化炭素をめざすだけではなく、有機化合物に光を当てることで、化学変換が進むという「光」による新しい反応系が構築できるかもしれません。いずれにしても、人工光合成は人類の夢であり、生物学から半導体工学に至るたくさんの研究分野に関係した、新しい広がりが期待される分野だと言えるでしょう。

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この学問が向いているかも 有機光化学、光生物化学、超分子化学

電気通信大学
情報理工学域 Ⅲ類(理工系) 化学生命工学プログラム 教授
平野 誉 先生

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メッセージ

 美しく光るホタルは小さな体にもかかわらず、とてつもなく光る力を持っています。高い効率で光の粒を生み出したり、発光を点滅させるという、試験管の中では起こせないような現象を難なくやり遂げているからです。ほかにも素晴らしい機能を持った生物はたくさんいます。そんな彼らから機能を学び、応用していくことで、今までなかった技術の開発が可能になっていくのです。光に関わる新技術は、医療やエネルギー問題、二酸化炭素の削減などの分野で、大きな将来性を秘めています。ぜひこの大きなテーマに挑戦してください。

先生の学問へのきっかけ

 埼玉県の豊かな自然の中で生まれ育ち、ザリガニや虫をとるのが大好きな子どもで、将来は生き物に関わる仕事ができたらいいなと思っていました。そして高校生のときに読んだ分子生物学の新聞記事に触発され、生物を分子の見方で理解することに興味を持ちました。また、当時から「生物と光の関係」に着目していたこともあり、大学では有機光化学の研究室に所属しました。光化学の実験は大好きですが、生物の研究から離れてしまったなと感じていたところ、発光生物の研究室から誘いがあったのです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

製品開発技術者/材料開発研究員/材料分析研究員/材料設計技術者/材料製造技術者/薬品開発研究員/情報処理技術者/教員

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平野 誉 先生がいらっしゃる
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 電気通信大学は、日本初の電気通信単科大学として無線技術者の養成はもとより、電気通信科学のあらゆる分野にわたって古くから研究者や技術者を送り出してきました。先端科学技術を支える全分野を網羅し、電子・情報分野に特化した研究、教育を行うユニークな大学です。社会に信頼され、社会から頼りにされる大学を目指し、ものづくりに意欲を燃やす学徒の期待に応える教育環境を提供します。

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