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講義No.05610

ネギにタマネギの染色体を加えてゲノムを解読する

タマネギらしさを知るには

 タマネギらしさとは何でしょう? ネギと比べてみると、丸く大きく結球し、表皮が茶褐色になります。外見上の違いは明らかですが、確証はありません。そこで、ネギにタマネギの染色体を添加してみます。染色体には、遺伝情報が含まれています。ネギには8種類の染色体がありますが、そこに1種類のタマネギ染色体を加え生育させます。タマネギも同じ数の染色体があるので、8パターンの組み合わせができます。この中でタマネギの5番目の染色体を加えたネギが、茎部分がふくらみ、表皮が茶褐色になりました。

遺伝子を解読して、タマネギを理解する

 このことから、「結球し茶褐色であること」がタマネギの特色であることがわかります。しかし、さらにそれがどの遺伝子によるものかを調べれば、さらに理解が深まります。ただ、タマネギは起源が古い植物で遺伝情報だけで膨大なこともあり、ゲノムの解読は簡単ではありません。ゲノムサイズの大きな生物の解読には、DNAを細切れにして読んでいく「ショットガン・シークエンス法」という方法がありますが、タマネギのような反復配列が多いゲノムには向いていません。そこで、遺伝子配列と遺伝子間の距離を明らかにする高密度の連鎖地図を作成して、ゲノム構造を網羅的に明らかにすることが必要になります。

連鎖地図を利用して病気に強いネギを開発

 この膨大なゲノム情報の整理に、冒頭で紹介したネギにタマネギの染色体を導入する単一異種染色体添加系統という方法が役立ちました。この方法で、遺伝子の場所を8種類の染色体別に特定することができたのです。
 現在、この連鎖地図をもとに、病気に強いネギの開発が行われています。ネギは、根底部にある成長点が菌に侵される病気がありますが、東南アジアにあるタマネギにこの病気にならない品種があります。菌に強い遺伝子は2番目の染色体にあることがわかっています。この遺伝子をネギやタマネギに導入して、病気に強い品種が開発されているのです。

参考資料
1:執行正義研究室の研究内容
2:シャロット染色体添加がネギの形質発現に及ぼす影響

染色体操作が美味しいネギを創る

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この学問が向いているかも 育種学

山口大学
農学部 生物資源環境科学科 教授
執行 正義 先生

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メッセージ

 「農学」というと、野外で植物を栽培しているというイメージをもつ人が多いかもしれません。しかし、実験室で最先端の遺伝子工学の知識を使って分析や評価も行っています。もちろん、自然が相手なので成果が出るまでに時間がかかる場合もありますが、頭で考えたことを自然の中で確認したり、逆に自然を観察することでいろいろなヒントを得たりという、ダイナミックな研究を経験することができます。
 農学は実学なので、世の中に役に立つことを考えるという面白さもあります。ぜひ、農学にチャレンジしてみてください。

先生の学問へのきっかけ

 高校時代に数学が好きだったこともあり、大学の農学部では、なんでも数式に置き換えて割り切れる自然現象を模索していました。しかし、うまく数式で説明できる現象にはなかなか出会えず、大学時代はスポーツに明け暮れていました。しかし、卒論テーマとの出会いで転機が訪れました。植物の染色体数をいろいろと変化させてみると、数が増えたり、減ったりする効果が単純な数式で置き換えられることがわかったのです。現在、扱っている植物はネギ類で、多くの海外の研究機関や国内の種苗会社・食品会社から関心を寄せられています。

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