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講義No.05124

強い瞬間的な電気エネルギー・パルスパワーの可能性とは?

パルスパワーとは瞬間的な巨大電力

 パルスパワーとは瞬間的に発生させた大電力のことを言います。例えば、100Wの電球を100秒間点けると10kJ(キロジュール)の電気エネルギーを消費したことになります。この電気エネルギーをためておいて100ns(ナノセカンド=1000万分の1秒)といった極めて短い時間で一気に放出すると、日本で使われている全電力(100億W)に匹敵する巨大電力、すなわちパルスパワーになります。パルスパワーを作用させた物体の中では、超高圧、超高温や超非熱平衡などの究極の極限状態が瞬間的に発生します。この瞬間的な極限状態を固体、液体、気体、生物の中で発生させると、日常ではありえないような現象や反応が生じます。パルスパワーで作ったこの極限状態は、新しい科学や産業技術につながる可能性を秘めています。

さまざまな分野で活用されるパルスパワー

 パルスパワーを利用できる分野はさまざまな分野に及んでいます。大気中でパルスパワーを使うとオーロラのような熱くないプラズマが発生します。これでオゾンをつくったり毒ガスを分解したりすることができます。また、コンクリートや電子基板などの産業廃棄物にパルスパワーを当てることで、薬剤を使わずに分解・リサイクルすることが可能です。さらに、パソコンや携帯電話などで使われている集積回路を加工するために不可欠な強力紫外線光源にもパルスパワーは用いられています。

パルスパワーを生物に使うバイオエレクトリクス

 そして最近注目されているのがパルスパワーを生物に応用する研究で、その分野をバイオエレクトリクス(Bioelectrics)と呼んでいます。例えば、植物にパルスパワーを当てることで発芽や成長をコントロールしようという研究が進んでいます。また、がん細胞にパルスパワーを当てるとアポトーシス(細胞の自発的な死)が誘導されます。これは、新しいがん治療につながる研究として注目されています。さらに、パルスパワーは液体食品を低温で殺菌する技術としても期待を集めています。

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この学問が向いているかも 電気工学、生物学

熊本大学
工学部 情報電気電子工学科 教授
勝木 淳 先生

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メッセージ

 私は、パルスパワーという大電力を生物に利用するバイオエレクトリクスの研究をしています。電気工学と生物学、医学にまたがる新しい研究で、実験するたびに新しい発見があり、毎日わくわくしながら顕微鏡をのぞいています。これからの科学技術では複数の分野を俯瞰的に見る能力が求められます。あなたも普段からできる限り幅広い科学技術分野に関心を持つこと、さらに、関心を持った科学技術にはどのような科目が関係し、あなたが学習している科目がどのように使われているか、ということを考えながら学習してほしいと思います。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

計測機器会社 研究、環境プラント会社 開発、自動車会社 開発、重工会社 海外プラント開発・航空事業、電力会社 発電・配電、製薬会社 設備、半導体会社 開発、光学機器会社 開発、化学会社 開発、資源開発会社 開発、大学研究員

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