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岡山大学 環境理工学部の教員によるミニ講義

関心ワード
  • 安全、
  • まちづくり、
  • 交通事故、
  • 道路、
  • 景観、
  • 速度、
  • 統計学、
  • 数学、

ドライバーが見る景観を変えて、速度をコントロールする

なおざりにされる生活道路の交通事故対策

 交通事故への対策は、死亡事故など大事故が起こりやすい幹線道路が優先され、生活道路はなおざりにされてきました。もちろん、効果的な対策もあります。例えば、外国では地元以外の車の侵入を制限している例や、車道の一部をかまぼこ状に盛り上げたり(ハンプ)、ポールを立てて狭くしたり(狭さく)、あるいは、道路を行き止まりや一方通行にすることで、通過交通を減らすことも一部では行われています。ただ、そのような方法は、地元の人々自身の利便性や快適さも犠牲にするため、反対されることが少なくありません。

道路の景観、特に路側線と中央線に注目

 そこで、どんな地域でも使え、地域全体として安全性の底上げが期待できる対策を研究しています。生活道路でのおもな事故原因は、自動車のスピードの出し過ぎです。そこで、車の平均速度をどうやって落とすかが課題となります。ドライバーは走っている道路の視覚情報で走行速度を無意識に決めています。そこで、路側線の位置や中央線の有無、路側帯の色、植樹帯の有無、沿道の建物の高さなど、ドライバーが見る景観をコントロールすることで自動車の速度をコントロールできると考えられます。例えば、路側線の位置を内側に引きなおして車道の幅を1m狭くすると平均速度が時速1.7km遅くなり、道路の中央線を消すと時速1.5km遅くなりました。また、路側帯に色を塗って車道との区別を明確にすると時速3.1km遅くなります。

科学的な手法で、まちづくりを考える

 このような方法をうまく利用して平均速度を落とせば、車の制動距離が短くなるため、飛び出しがあっても事故になる確率は低くなります。このような方法は、コスト面でも道路自体を作り直す方法よりも優れています。まちづくりは、経験を基にしたイメージや感覚で語られることが多いのですが、統計学や数学などの科学的な手法を用い、客観的に考えることで、より多くの地域で持続的に利用することが可能になるのです。

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住宅地の道路を安全な空間にするには

夢ナビライブ2016 大阪会場

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生活道路の安全性

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安全な道を作るための社会実験

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この学問が向いているかも 環境デザイン工学


環境理工学部 環境デザイン工学科 准教授
橋本 成仁

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メッセージ

 私の研究室では、地域の人々が安全に安心して快適に暮らすためにはどうすれば良いかということについて研究しています。まちづくりでは、「こうしたい」という強い主観的な思いだけでは不十分で、客観的な情報、データを活用・分析し、科学的な裏付けを基に検討することが、成功の秘訣になります。具体的には、街並みと自動車の走行速度の関係や、中山間地域や過疎地域の公共交通機関の問題など、実際に地域に入って研究を行っています。縁があれば、私の研究室に来て一緒に研究してみませんか。

先生の学問へのきっかけ

 現在の研究テーマを選んだのは、日常的な何気ない出来事がきっかけでした。学生の頃、歩道を歩いていると、後ろから「チリンチリン」と自転車のベルがなり、慌てて道を譲ったことがありました。その時感じたのは、「なぜ、歩道を安心して歩けないのだろうか」という単純な疑問でした。「幹線道路ならいざ知らず、なぜ、住宅地の生活道路で、車や自転車が我が物顔で通行しているのだろうか。人が安心して歩ける道路を作るにはどうしたらよいのだろうか」。20年以上もこの疑問にこだわり、それが研究テーマの1つになっているのです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大学教官/官公庁都市計画・交通計画/シンクタンク研究員/建設コンサルタント技術者/鉄道会社技術者など

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