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講義No.04300

人体の要、肝臓の研究に貢献する画期的な細胞培養法

肝臓の役割

 食事でとった栄養素は、胃や小腸で消化・吸収されます。そして吸収された栄養素は、血液とともに肝臓に集められ、全身へ再分配されます。したがって肝臓を分析すると、栄養素が身体におよぼす影響を調べることができます。
 また肝臓は、脂質など栄養の代謝やアルコールの分解、薬物を解毒する機能を持っています。例えば新薬を開発する場合にも、肝臓を使った試験は欠かすことができません。肝臓は人体を知るうえで要(かなめ)となる重要な器官なのです。

体外では機能を失う肝細胞

 肝臓のメカニズムを調べるには、まず肝細胞を培養する必要があります。しかし肝細胞は体外に出すと、残念なことに機能を失ってしまいます。そこで、培養方法の改良の研究がスタートしました。
 研究を進めるうちに、シャーレ上で平面に行う従来の培養方法ではなく、立体的(三次元的)に培養を行えば体外でも機能が維持できることがわかりました。肝臓はもともと立体ですから、体内と同じ環境を与えることが重要だったのです。具体的には、細胞を固定する「細胞外マトリックス」というタンパク質を変化させ、細胞が自然に立体になろうとする性質を生かすことで実現しました。2011年9月、日本人の肝細胞をこうして培養したところ、機能を維持していることが証明されました。これは世界初の成果です。細胞が立体的になるのは実験の失敗だと言われた時期もあったので、まさに発想の転換の勝利と言えます。

三次元培養の肝細胞から広がる可能性

 三次元培養した肝細胞の利用で、肝炎など肝臓病の研究発展や、薬の安全性試験で数多く行われている動物実験を減らすことができると期待されます。
 また、人工肝臓をつくろうというプロジェクトもあります。肝臓を模した立体の中に肝細胞を詰め、人工透析(人工腎臓)のように、血液を体外循環させて肝機能の代替にするのです。実現までには超えなければならなないハードルがたくさんありますが、今回の成果が実を結ぶ日がいつかやってくるでしょう。

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食べる時間とメタボ、肝臓時計を介した調節

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この学問が向いているかも 細胞工学、遺伝子工学

名古屋大学
農学部 応用生命科学科 准教授
小田 裕昭 先生

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メッセージ

 私は、食事の時間が身体に与える影響や、肝細胞の機能についての研究をしています。食事の時間は身体にとって非常に重要です。そして、肝臓は栄養素の代謝を司る大切な臓器です。この研究は、本当に面白いものです。私の現在の研究分野は主に生物学に属しますが、研究には化学の知識も必要になります。振り返ってみると、高校時代は化学が好きで一所懸命勉強し、それが今につながっているようです。あなたも化学や生物学、ほかの分野にもいろいろ興味を持って学べば、将来面白い研究ができると思います。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

製薬会社(研究・開発・調査)/食品会社(研究・開発)/食品検査会社/化粧品会社(研究)/化成品会社 ほか

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小田 裕昭 先生がいらっしゃる
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 名古屋大学は、研究と教育の創造的な活動を通じて、豊かな文化の構築と科学・技術の発展に貢献してきました。「創造的な研究によって真理を探究」することをめざします。また名古屋大学は、「勇気ある知識人」を育てることを理念としています。基礎技術を「ものづくり」に結実させ、そのための仕組みや制度である「ことづくり」を構想し、数々の世界的な学術と産業を生む「ひとづくり」に努める風土のもと、既存の権威にとらわれない自由・闊達で国際性に富んだ学風を特色としています。この学風の上に、未来を切り拓く人を育てます。

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