夢ナビWebセレクション

岡山大学 工学部の教員によるミニ講義

関心ワード
  • 電子ビーム、
  • セラミック、
  • 金属、
  • 電子、
  • 道具、
  • 加工、
  • ダイヤモンド、
  • 金型

超強力な大面積パルス電子ビームで金属を磨く

硬い金属の加工に必要な条件

 硬い金属を切ったり削ったりする時、あるいは磨いて加工する際には、必要不可欠な条件があります。それは加工道具が材料となる金属より硬い材質でできていることです。だから金属を磨くときには、ダイヤモンドの粉やそれに次いで硬いとされるセラミックスの粉が研磨剤によく使われるのです。
 しかし道具の材質の硬さを追求するやり方とはまったく別のアプローチもあります。例えば人工的に放電を発生させて、発生する熱で金属を溶かすのが「放電加工」です。光のエネルギーを利用するのが「レーザ加工」です。また金属を食べるバクテリアをコントロールして加工する「バイオマシニング」も研究が進められています。そんな中で、世界で初めて大面積パルス電子ビームを使って金属表面を磨く技術が実用化されました。

太陽光のように電子ビームを使う

 電子ビームのもとは電子です。電子とは、マイナスの電荷を帯びた微粒子で、これを高速で移動させると電子ビームになります。電子は電荷を帯びているため、電場や磁場を使って思うようにコントロールすることができます。硬い金属を電子ビームで溶かして加工するためのカギは、そのパワーの密度です。
 例えば太陽光を虫眼鏡で絞り込むと、焦点のパワー密度が高まり紙を燃やすことができます。同様に電子ビームも限られた面積に集中して照射することで、エネルギーが高まるのです。

大面積の電子ビームで金属を磨く仕組み

 大面積電子ビームを使えば、硬い金属の表面をぴかぴかに磨き上げることができます。ビームを集中させることなく、大きいビーム直径のままで電子ビームを強力にするためには、電子をコンデンサ(電気をためる蓄電器)にためておき、ごく短い時間に一気に放出すること(=パルス)が必要です。ビームを照射し、そのエネルギーで金属の表面だけを溶かすことができ、金属表面の凸凹をなくします。この方法が実用化されたことにより、これまで職人が手作業で長時間かけていた金型などの磨き加工を、わずか3分足らずでできるようになりました。

参考資料
1:大面積パルス電子ビーム照射法
2:バイオマシニング

再生スピードを変更できます。

アイコン

講義を視聴する(1分)

アイコン

講義を視聴する(1分 その2)

アイコン

講義を視聴する(1分 その3)

アイコン

講義を視聴する(30分)

この学問が向いているかも 機械工学、生産工学、特殊加工学


工学部 機械システム系学科 教授
岡田 晃

先生の他の講義を見る 先生の著書
メッセージ

 世界初となるものづくりの技術を何か発明したい、そんな途方もない夢を持っているあなたを大歓迎します。研究室の目標はいつも、世界で唯一の加工法を創り出すことです。これまでにも特殊な電子ビームやバクテリアを使った金属加工法を開発してきました。いずれも世界初の快挙です。物理化学はちょっと苦手でも心配いりません。高校の授業で原理原則を理解していれば、後は岡山大学機械システム系学科で探求力と実践力が身につきます。次の「世界初」を、ぜひ一緒に開発しましょう。

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃からテレビの戦隊ものが大好きで、戦車や戦闘機が変形してロボットになる、そんなおもちゃの設計やモノづくりに携わりたくて機械工学科に入学しました。大学3年生の時の「特殊加工学」の授業で、レーザーや放電プラズマ、電気化学反応で金属を精密に削る加工法を学びました。そして、従来の方法では加工が難しい高性能材料や細かくて精密な形状を加工するために、従来加工技術の高性能化や新しい加工法の開発が必要だということを知りました。いまは「世界初のものづくり技術を研究し発明したい!」という夢を持って研究に取り組んでいます。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

あらゆる機械関連企業(一般機械、自動車等輸送機械、航空宇宙関連機械、化学工業、電気電子機器、医療生命関連機器等)における研究開発・設計・製造

TOPへもどる

夢ナビロゴ

夢ナビ編集部copyright(c) 2008- Frompage Co.,Ltd. All Rights Reserved.