夢ナビWebセレクション

岡山大学 工学部の教員によるミニ講義

関心ワード
  • カプセル、
  • がん細胞、
  • がん(癌)、
  • ドラッグデリバリーシステム、
  • 免疫、
  • 副作用、
  • 薬・医薬品、
  • 医療、
  • 治療、
  • 人体、
  • ヒドロキシ基

がん細胞に、ピンポイントで薬を送り込むために

非常に厳密な人体の免疫システム

 がん治療に革命を起こすと期待されているのが「ドラッグデリバリーシステム」、狙いを付けたがん細胞だけに的確に薬を届ける方法です。このシステムでは薬をナノメートル(10億分の1メートル)サイズのカプセルに入れて、各がん細胞固有のタンパク質を目印にカプセルを届けます。そこで問題になるのが、人間の免疫システムです。
 人間の免疫にとっては、ウイルスも薬の入ったカプセルも、等しく異物として認識されます。ひとたび異物と見なされてしまうと、たちまち白血球に取り囲まれて体外へと排除されてしまいます。

免疫システムをくぐり抜けて、がん細胞をめざす

 免疫システムに弾き出されることなく、薬をがん細胞まで届けるためにはどうすればよいのでしょうか。答えは、薬を入れたカプセルにヒトのタンパク質をくっつけておくことです。こうすると免疫システムは、カプセルを異物ではなく、体内の組織の一部と見なしてくれます。さらにカプセルの表面には、OH基(ヒドロキシ基)などの、べたつきを抑える成分を付けておきます。このOH基が潤滑剤として働き、体内を非常にスムーズに流れていくことができるのです。

副作用を軽くして、治療効果が高まる

 届けられたカプセルをがん細胞が取り込むと、中に込められていた薬が、がん細胞にダイレクトに作用します。ドラッグデリバリーシステムなら、薬はがん細胞にしか作用しないので、抗がん剤特有の副作用を軽いものに抑えることができるのです。
 また、例えば同じ乳がんでも、一人ひとりの患者さんによって微妙な違いがあります。そこでドラッグデリバリーシステムを使えば、常に特定のがん細胞にだけ効く薬をピンポイントで届けることができます。したがってどんな患者さんに対しても、その人に最適化された治療、つまり「テーラーメード(個人に合った形にあつらえる)医療」を行うことができるのです。現在はがん細胞のデータ蓄積が進められており、今後の研究の加速度的な発展が期待されています。

再生スピードを変更できます。

がん細胞に、ピンポイントで薬を送り込む

夢ナビライブ2012 北九州会場

アイコン

副作用を軽くするドラッグデザイン

アイコン

講義を視聴する(1分 その2)

アイコン

講義を視聴する(1分 その3)

アイコン

講義を視聴する(30分)

この学問が向いているかも 生物工学、医用生体工学、生物物理学


工学部 化学生命系学科 教授
妹尾 昌治

先生の他の講義を見る
メッセージ

 私は高校生の時、大学では生物学と工学の境界領域を勉強したいと考えました。なぜなら、当時はその分野の研究者がほとんどいなかったからです。生物は一つの「機械」と考えることができます。外からエネルギーを取り込んで、物理学の法則に従い、非常に効率よく動く機械です。科学が大きく進歩する中で、生物のさまざまな謎が解明されてきました。けれども「生きていること」がどういうことなのかは、いまだに科学では説明できません。想像力や発想力が豊かなあなた、ぜひ一緒に、この不思議な機械について研究しましょう。

先生の学問へのきっかけ

 最初のきっかけは高校生の時、大学では生物学と工学の境界領域を勉強したいと考えたことです。生物は一つの「機械」ととらえると、外からエネルギーを取り込んで、物理学の法則に従い、化学反応をコントロールしながら、非常に効率よく動く精密機械のように見えます。しかも、自力で自分の部品さえも作り出して常にメインテナンスを怠りません。この精密機械の中で起こる生命現象は、正常な細胞でもがん細胞でも全てがいろいろなバランスの上に成り立っているシステムと言えます。このように考えるといろいろな挑戦に夢が膨らんだのです。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

食品会社製造開発/マーケティング、製薬会社販売/開発、化学会社研究開発、科学機器メーカー設計、情報通信会社開発、公務員管理、銀行員、高等学校教員、大学教員、大学・研究機関研究員

TOPへもどる

夢ナビロゴ

夢ナビ編集部copyright(c) 2008- Frompage Co.,Ltd. All Rights Reserved.