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講義No.03668

魚は生態によって脳のパーツサイズが変化する!

魚とヒトの脳は同じ?

 魚とヒトは同じ脊椎動物の仲間で、大脳、間脳、中脳、橋(きょう:中脳と延髄の間)、延髄および小脳といったパーツは同じです。しかし、そのパーツは魚の生態を如実に反映して、種によって大きかったり小さかったりと多様です。例えば、夜行性のウツボは目をあまり使いません。匂いで好物のタコを探すため、嗅覚を処理する「嗅球」が巨大です。反対に昼間に視覚に依存した行動をするカワハギでは、視覚を受け持つ「視蓋(しがい)」がとても大きいのです。

脳を見ると生態がわかる!

 脳を見れば、その魚がどんな生活をしているのかがわかるほどです。その中でとりわけ面白いのが味覚です。ヒトには舌に「味蕾(みらい)」という食べ物の味を感じる器官があり、すべての種ではありませんが、魚にはこれが身体の表面にもあるのです。コイにはその味蕾がヒゲに多数あります。味蕾でキャッチした情報は「顔面葉」という部分に到達するため、コイの顔面葉は大きくなっています。左右にヒゲを4本ずつ持つゴンズイもこの顔面葉が大きいのですが、コイと違うのはこの顔面葉にヒゲに対応した「地図」があることです。つまり、ヒゲAが感じた場合はあっちにおいしいものが、ヒゲBが感じた場合はこっちにというように、その位置がわかるようになっているのです。

シワシワの脳を持つヒメジ

 さらにこのゴンズイの上をいくのが高級練り物製品の原料になっているヒメジです。水流によってヒゲを漂わせているだけのゴンズイと違い、ヒメジはヒゲを自ら動かしておいしいものを探すのです。ヒメジの顔面葉はヒトの大脳皮質のように層状構造をしていて、しかもしわが入っています。大量の感覚と運動系の情報を処理するために大きな面積が必要なためと考えられます。
 以前は、魚の大脳は嗅覚処理だけにかかわるとされ、「嗅葉」と呼ばれてきました。しかし、実際にはいろいろな感覚が魚の大脳に送られることがわかってきました。魚とヒトの共通点は、調べれば、まだまだたくさんあるかもしれません。

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脳のかたちから魚の生態を読む

夢ナビライブ2017 名古屋会場

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魚と人間の脳の構造は同じ?

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地震を予知?ナマズの脳の構造とは?

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特殊な脳と脊髄を持つ魚

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講義を視聴する(30分)

この学問が向いているかも 生物学、農学、水産学

名古屋大学
農学部 資源生物科学科 水圏動物学研究分野 教授
山本 直之 先生

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メッセージ

 生き物が好きな人は野外に出て、たくさん観察してください。そしてそこで疑問に思ったことは、どんどん調べて、掘り下げて研究してほしいと思います。また、気になる生き物があったらとりあえず飼ってみるというのもいいと思います。生き物を飼うといろいろな行動が見られて面白いですし、その面白さをきっかけにまた調べていって……というような繰り返しをすることで、自分で考える力もつきます。身近なのによくわかっていないことが多い魚を、脳を切り口に一緒に研究してみませんか?

先生の学問へのきっかけ

 子どもの頃から魚や昆虫などの生き物が好きだったので、よく釣りや昆虫採集に出かけていました。高校では理数科に進み、さらには考古学部や生物部を掛け持ちして勉強にも打ち込みました。現在の専門分野に進んだきっかけは、当時「記憶」や「学習」の研究が盛んに行われていたのを目の当たりにし「神経回路の研究は面白そうだ」と思ったからです。それ以来、魚類を中心に水生生物の神経回路や行動を調べています。

先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

食品会社研究員/国家公務員林業行政/地方公務員港湾行政/漁業協同組合/全国農業共同組合連合会(JA) ほか

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山本 直之 先生がいらっしゃる
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 名古屋大学は、研究と教育の創造的な活動を通じて、豊かな文化の構築と科学・技術の発展に貢献してきました。「創造的な研究によって真理を探究」することをめざします。また名古屋大学は、「勇気ある知識人」を育てることを理念としています。基礎技術を「ものづくり」に結実させ、そのための仕組みや制度である「ことづくり」を構想し、数々の世界的な学術と産業を生む「ひとづくり」に努める風土のもと、既存の権威にとらわれない自由・闊達で国際性に富んだ学風を特色としています。この学風の上に、未来を切り拓く人を育てます。

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