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講義No.03356

アンドロイドの「不気味の谷」克服が脳の理解につながる

人は人間型ロボットに親近感をもつ

 昔はSFの世界だったアンドロイドですが、現在は研究開発が進み、より人間の姿形に近づいたアンドロイドを作ることができるようになっています。素材の改良や成型技術が進んで、アンドロイドの「見かけ」は、人間とほぼ寸分たがわぬ姿を実現できるようになりました。このようなアンドロイドに人間はどう反応するのでしょうか。
 一般に、ロボットが人間の姿に近づけば近づくほど親近感は増していきます。機械装置の姿の工業用ロボットより、人間と同じような頭や手足を持つロボットに人は親しみを覚えるのです。

あらわれる「不気味の谷」

 しかし、ロボットがかなり人間に近づくと突然不気味な感覚を持ちます。グラフの横軸に簡単なロボットから複雑なロボット、さらに人間に非常に酷似したロボットを並べ、縦軸にはそれらのロボットに対する親近感を示すと、そのグラフはロボットが非常に人間に近づく一歩手前で大きな谷を形成します。これがロボット工学上で提唱されている経験則「不気味の谷」と呼ばれるもので、動かないロボットよりも動くロボットのほうがより強い不気味な感覚をもたらすのです。

アンドロイドを作ることで人間の脳を知る

 私たちの脳は、見かけが非常に人間らしいと、動きも当然人間らしいはずだと思いこみます。そのため、動きや所作が人間らしくないアンドロイドを見ると強い違和感を覚えるのです。これを克服するには人間らしい見かけに見合う動作をするアンドロイドを開発すればよいのですが、人間の動きは、200本以上もある筋肉によって非常に巧妙かつ複雑に制御されており、静止時でも目や首、肩や胸などの無意識微小動作を行っています。これらをロボットであるアンドロイドで実現するのは大変ですが、CPG(セントラルパターンジェネレータ)という、脳が持つ人間の動作を生成したり制御したりする信号パターン生成器を人為的に構成すれば、かなり人間に近い動きを再現できます。逆に言えば、アンドロイドを作ることで人間の脳の機能がわかる可能性もあるのです。

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この学問が向いているかも 認知科学、ロボット工学

大阪大学
基礎工学部 システム科学科 教授
石黒 浩 先生

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メッセージ

 「人間とは何か?」。人間が生きることの命題は、この質問の答えを突き詰めていくことにあるのではないでしょうか。動物と人間の違いは何でしょう。人間としてのプライドを本当に自覚して生きている人はどれだけいるでしょうか。人間は本来生きる意義を持たずに生まれてきて、生きる意義を自分で見つけるために人生を生きるのだと思います。ただ「頑張っている」だけでは意味がありません。生き延びようとする力をつけ、生きる意義を見いだしてこそ、人間は人間になっていくのだと思います。

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