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講義No.01896

エネルギー代謝に注目したスポーツ選手のトレーニング

ミトコンドリアを増やすのが長距離のトレーニング

 細胞内のミトコンドリアは、酸素を使って糖や脂肪をエネルギーに変えています。しかし、エネルギー源である糖は、実は脂肪に比べたら少ししか体内に蓄えられていません。つまり、同じ運動でも、糖より脂肪を多く使えるような身体をつくれれば、長く、強く動けます。体内の糖は少ないので、できるだけ温存しておいたほうがよいのです。
 糖や脂肪を多く使うためには、それを変換させるミトコンドリアを増やす必要があります。これに有効なのが「距離を踏む」、すなわち長距離を走るトレーニングです。

「距離を踏む」ことの意味

 最近はスポーツの世界でも、「距離を踏む」ことが強調されていて、中には朝から10kmもの走り込みをする高校生もいるようです。しかし、高校生のうちは、距離を走破するトレーニングよりも、スピードを高めるトレーニングを重視したほうがよいでしょう。若いころは中距離を主に行っていた選手が、のちにマラソンでメダルを獲得するという成果を挙げていることが、それを物語っています。
 また、身体の中のミトコンドリアを増やすことは、確かに代謝機能を高める手段のひとつですが、このとき、身体の中にどれだけ酸素を取り入れられるかという最大能力のことも忘れてはいけません。ミトコンドリアはエネルギーを生み出すために酸素を使用するからです。肺から酸素を取り込み、心臓で血液を全身に送り出す能力も合わせて高めなければ「距離を踏む」効果はいかされません。
 距離だけを重視していては、駅伝から先、マラソンなどで世界と肩を並べていくことができなくなってしまうかもしれません。
 このように、走行時のフォームのような外側から見えるものだけではなく、エネルギー代謝などの身体内部を見るという視点も、スポーツ科学では大切です。

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この学問が向いているかも 大学院総合文化研究科

東京大学
大学院総合文化研究科 身体運動科学研究室 教授
八田 秀雄 先生

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メッセージ

 持久走大会などを思い浮かべて「走ることは苦しいもの」と思い込んでいませんか。無理せずゆっくり走り、それによって身体の中を変える、機能をよくすると考えれば、走ることは楽しくなります。
 身体運動科学を学びたい人には、体育系の学部や学科に進むのはもちろん1つのよい方法ですが、大学に入学して最初の4年間で生物学などの基礎を学び、大学院に入ってからより専門的に学ぶという方法を紹介したいと思います。身体運動科学は学問としては応用分野ですから、理系分野の基礎学問を先に学んでおくと理解が深まります。

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